WCAG 2.2の達成基準2.3.1「3回以下の閃光または閾値以下」は、光に反応して起こる発作のリスクを抑えるため、ウェブページ内の閃光を制限するLevel Aの基準です。
判定には、「どの1秒間を見ても閃光が3回を超えない」方法と、「3回を超える場合でも一般閃光と赤閃光の閾値以下に収める」方法があります。
実装しやすく確認もしやすいのは、閃光そのものを使わないか、1秒間に3回を超えないようにする方法です。
達成基準2.3.1が求めること
閃光とは、明るさが増えてから減る、または減ってから増えるという、反対方向の変化が対になった現象を指します。
そのため、CSSのキーフレーム数や色が変わった回数だけでは、閃光の回数を正しく判断できません。
| 判定方法 | 確認する内容 | 実務上の考え方 |
|---|---|---|
| 回数で確認する | どの1秒間にも、閃光が3回を超えて存在しない | 比較的わかりやすく、専用の閾値計算を避けやすい |
| 閾値で確認する | 一般閃光と赤閃光の両方について、定められた閾値以下である | 明るさの変化、赤色成分、閃光する範囲などを専用ツールで調べる |
達成基準は、ページ内の一部だけではなく、動画、アニメーション、繰り返し再生される画像などを含むページ全体に適用されます。
詳しい判定の考え方は、W3Cの「Understanding Success Criterion 2.3.1」で確認できます。
「3回以下」を数えるときの注意点
「3回以下」は、動画の開始から1秒ごとに区切った範囲だけを調べるという意味ではありません。
再生中のどの連続した1秒間を切り取っても、閃光が3回を超えないことを確認します。
短いアニメーションを繰り返す場合は、ループの終端から次の開始部分にまたがる1秒間も確認対象です。
実装コードのanimation-durationだけを見て、「2秒だから安全」「0.5秒だから不適合」と即断することもできません。
キーフレーム内で明暗が何度反転するか、複数の要素が同時に変化するかによって、実際の閃光回数が変わるためです。
回数による確認には、W3Cの手法「G19:1秒間に3回を超えて閃光しないことを確認する」が参考になります。
一般閃光と赤閃光の閾値
一般閃光の閾値は、明るさが反対方向に大きく変化する閃光を評価するための基準です。
赤閃光の閾値は、飽和した赤を含む反対方向の変化を評価するための基準です。
閾値の判定では、変化の大きさだけでなく、同時に閃光する範囲も関係します。
ただし、「表示領域を20px四方にしたから適合する」のように、CSS上の幅と高さだけで判定することはできません。
表示環境や拡大状態によって見える大きさが変わり、複数の閃光領域を合わせて評価する必要がある場合もあるためです。
領域を小さくすることは改善策の一つですが、根拠のない固定ピクセル値を安全基準として扱わず、必要に応じて分析ツールで確認します。
実装では閃光を使わない方法から検討する
注意を引くためだけの点滅であれば、静的な見出し、枠線、アイコン、短い説明文などに置き換えられます。
閃光をなくせない場合は、次の順番で設計と確認を進めると判断が整理しやすくなります。
- ページ内の動画、アニメーション、画像の切り替えなど、急な明暗変化がある箇所を洗い出す。
- 装飾目的の閃光を削除し、静的な表現に置き換える。
- 残す閃光は、どの1秒間にも3回を超えないように調整する。
- 3回を超える可能性がある素材は、一般閃光と赤閃光の閾値を専用ツールで確認する。
- 変更後の素材を実際のページ上で再確認し、繰り返し再生や複数要素の同時表示も含めてテストする。
よくある判断ミス
| 判断ミス | 問題点 | 修正方法 |
|---|---|---|
| アニメーションの再生時間だけで判定する | 一つの周期に含まれる明暗の反転回数を見落とす | 実際の表示を対象に、どの1秒間にも含まれる閃光を数える |
| 小さい要素なら無条件に安全と考える | 表示環境や同時に閃光する領域を考慮できない | 領域、明るさの変化、赤色成分を合わせて確認する |
| 一つの要素だけを確認する | ページ内で同時に起きる閃光を見落とす | 動画やアニメーションを含むページ全体をテストする |
| 目視だけで閾値以下と判断する | 一般閃光と赤閃光の計算を再現できない | 回数で明確に判定できない素材は分析ツールを使う |
PEATを使った確認
Photosensitive Epilepsy Analysis Tool(PEAT)は、ウェブコンテンツやソフトウェアの動画を解析し、一般閃光と赤閃光の問題を調べるためのツールです。
ただし、公式ページには対応する動画形式やキャプチャ機能に関する制約も案内されています。
解析できなかった素材を「問題なし」と扱わず、動作環境と入力形式を確認してから使用してください。
手動確認は、明らかに速い点滅を見つけ、1秒間の回数を確認する段階に向いています。
一方、明るさ、赤色成分、閃光範囲を含む閾値判定は目視だけでは完結しないため、分析結果を記録して修正前後を比較します。
達成基準2.3.2との違い
Level Aの2.3.1は、「3回を超えない」方法に加えて、「閾値以下に収める」方法も認めています。
これに対してLevel AAAの2.3.2は、閾値による例外を設けず、1秒間に3回を超える閃光を避ける基準です。
二つの達成基準をまとめて確認したい場合は、「JIS X 8341-3:2016の「発作の防止」と対応方法」を参照してください。
2.3.2だけを確認する場合は、「WCAG 2.2「2.3.2 3回以下の閃光」Level AAA」で要件を整理しています。
確認項目
- 装飾目的の閃光を削除または静的な表現に変更したか。
- どの連続した1秒間にも、閃光が3回を超えていないか。
- 繰り返し再生の境目を含めて確認したか。
- 一般閃光と赤閃光の両方を確認したか。
- 小さな領域を固定ピクセル値だけで安全と判断していないか。
- 動画やアニメーションを含むページ全体をテストしたか。
- 修正後に同じ条件で再テストし、結果を記録したか。
まとめ
達成基準2.3.1では、閃光を1秒間に3回以下に抑えるか、一般閃光と赤閃光の閾値以下であることを確認します。
まず閃光を使わない表現を検討し、残す場合は回数を制限し、単純な回数確認で判断できない素材だけを専用ツールで分析する流れが実務的です。
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