WCAGやAPIのような略語は文章を短くできますが、意味を知らない読者には情報を理解する妨げになります。
略語とは、長い名称や語句を短くした表記です。
初出で意味を説明し、必要に応じてHTMLの<abbr>要素や用語集を組み合わせると、略語を知らない読者にも内容を伝えやすくなります。
略語の説明が必要になる場面
略語は、書き手や同じ分野の担当者には自明でも、すべての読者に通じるとは限りません。
- 文脈によって意味が変わる:同じ文字列が別の名称を指す場合、説明がなければ読者は意味を特定できません。
- 読み方だけでは意味が伝わらない:スクリーンリーダーの仕組みを理解していても、文字列から略語の意味まで自動的に伝わるとは限りません。
- 読者の知識や言語が異なる:専門分野や地域に固有の略語は、初めて読む人や別の言語を使う人にとって理解しにくい場合があります。
視覚障害や認知障害の有無にかかわらず、略語の展開を本文から確認できることが理解の助けになります。
略語を伝える三つの方法
| 方法 | 向いている場面 | 注意点 |
|---|---|---|
| 本文で正式名称を示す | 略語が初めて現れる箇所 | 正式名称だけで分かりにくければ、短い日本語の説明も添える |
<abbr>要素を使う |
略語と正式名称をHTML上で関連付けたい箇所 | title属性だけに説明を任せず、本文でも意味を示す |
| 用語集へ案内する | 同じサイトで多数の略語を繰り返し使う場合 | 目的の項目へ直接移動できるリンクを用意し、説明を更新する |
初出で正式名称と意味を示す
最も分かりやすい方法は、略語が初めて現れる箇所に正式名称を併記することです。
<p>このページは、Web Content Accessibility Guidelines(WCAG)を参考にしています。</p>
英語の正式名称を示すだけでは読者が意味をつかみにくい場合は、日本語による短い説明も続けます。
<p>API(Application Programming Interface、ソフトウェア同士が機能やデータをやり取りするための接点)を利用します。</p>
WCAGの略語に関する達成基準を確認したい場合は、WCAG 2.2「3.1.4 略語」の解説も参照できます。
abbr要素を補助として使う
<abbr>要素は、表示する略語と正式名称をHTML上で関連付けるために使えます。
<p>
<abbr title="Web Content Accessibility Guidelines">WCAG</abbr>を参考にします。
</p>
ただし、title属性による説明の提示方法は閲覧環境によって異なります。
略語の意味を確実に本文で読めるように、初出の正式名称と併用するのが安全です。
略語が多いサイトには用語集を設ける
同じ略語を複数のページで使うサイトでは、用語集に名称と説明を集約すると参照しやすくなります。
<p>
詳細は<a href="/glossary/#cms">用語集のCMSの項目</a>をご覧ください。
</p>
<dl id="cms">
<dt>CMS</dt>
<dd>Content Management Systemの略称です。</dd>
</dl>
用語集では略語の展開だけでなく、その語がサイト内で何を指すのかも簡潔に説明します。
専門用語や珍しい単語を分かりやすく伝える方法も、用語集を設計する際の参考になります。
略語を使わない判断
一度か二度しか使わない名称は、略語に置き換えないほうが読みやすい場合があります。
略語を覚える負担よりも短縮の効果が小さいためです。
組織内では定着している略語でも、一般向けのページでは正式名称または平易な言い換えを優先します。
公開前に確認する項目
- 初出の略語に正式名称または短い意味の説明があるか
- 同じ略語をページ内で一貫した意味に使っているか
- 英語の正式名称だけでなく、必要に応じて日本語の説明も添えているか
<abbr>要素のtitle属性だけに説明を任せていないか- 用語集へのリンクが目的の項目を示し、説明が現在の本文と一致しているか
- スクリーンリーダーで聞いたときに、略語の読み方と周囲の説明を理解できるか
自動チェックはマークアップの確認に役立ちますが、略語が対象読者に通じるかどうかは文章の文脈を含めて判断する必要があります。
目視による確認とスクリーンリーダーでの読み上げ確認を組み合わせてください。
略語を理解の手がかりにする
略語への配慮は、すべての略語に同じマークアップを付ける作業ではありません。
初出では本文に意味を示し、繰り返し使う語には<abbr>要素や用語集を補助として使い、不要な略語は使わないという判断が必要です。
読者が別のページやツールに頼らなくても意味を確認できる文章を基準にすると、情報を理解しやすいページになります。
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