PDFに文字が見えていても、その実体が画像であれば、検索、コピー、読み上げに利用できないことがあります。
PDFのテキスト化は、こうした文書から文字情報を取り出し、内容を扱いやすくする作業です。
ただし、文字を抽出しただけでアクセシブルなPDFが完成するわけではありません。
見出しやリストの構造、読み上げ順、画像の説明まで確認する必要があります。
PDFのテキスト化で変わること
テキスト化とは、PDF内の文字を選択、検索、コピーできる状態にすることです。
対象となるPDFは、文字情報を持つものと、スキャン画像として保存されたものに大きく分けられます。
- 文字情報を持つPDF:文字を選択できるため、コピーや別形式への書き出しで取り出せることがあります。
- 画像として保存されたPDF:ページ上の文字が画像の一部になっているため、OCRで文字を認識させます。
テキスト化すると、文書内を検索しやすくなり、必要な部分をコピーして再利用できます。
支援技術が内容を扱うための土台にもなります。
また、抽出した文字を別の文書やウェブページとして整えれば、画面サイズに合わせた表示を用意しやすくなります。
一方、テキスト化は最初の工程です。
文字が存在しても、読む順序が不自然だったり、見出しの構造がなかったりすれば、スクリーンリーダーで内容を把握しにくい場合があります。
最初にPDFの状態を確認する
変換方法を選ぶ前に、PDFが文字情報を持っているかを確認します。
次の三つを順に試すと判断しやすくなります。
- 本文の一部をドラッグして、文字を選択できるか確認する。
- 文書内検索で、画面に見えている語を探す。
- 一段落だけコピーし、文字の順序が保たれているか確認する。
文字を選択でき、コピーした内容も自然な順序なら、手動コピーや書き出しで対応できる可能性があります。
文字を選択できない場合は、OCRを使います。
選択できても順序が崩れる場合は、変換後の修正を前提にします。
PDFをテキスト化する四つの方法
| 方法 | 向いているPDF | 利点 | 注意点 |
|---|---|---|---|
| コピーして貼り付ける | 文字を選択できる短いPDF | すぐに試せる | 段落や表の配置が崩れることがある |
| OCRを使う | スキャンしたPDF | 画像内の文字を抽出できる | 誤認識や読み順を確認する必要がある |
| PDF編集ソフトで書き出す | 文字情報を持つPDF | 文書全体を別形式に変換できる | 見た目が保たれても構造が正しいとは限らない |
| オンライン変換を使う | 機密情報を含まないPDF | ソフトをインストールせずに試せる | アップロードしてよい文書かを事前に確認する |
文字をコピーして貼り付ける
文字を選択できるPDFで、ページ数が少ない場合に使いやすい方法です。
PDFを開いて必要な範囲をコピーし、テキストエディタや文書作成ソフトに貼り付けます。
その後、段落、改行、箇条書き、表の並びを原文と照合します。
この方法は手軽ですが、複雑なレイアウトでは読む順序が崩れることがあります。
二段組みの文書や表を扱う場合は、少量を試してから文書全体に進みます。
OCRで画像内の文字を認識する
OCR(光学文字認識)は、画像として保存された文字を、選択や編集ができる文字情報に変換する機能です。
スキャンした書類など、文字を選択できないPDFに使います。
- OCR機能を備えたPDF編集ソフトや専用ツールでPDFを開く。
- 対象ページを確認し、文字認識を実行する。
- 変換後のテキストを原文と見比べ、誤字、文字抜け、改行、読む順序を修正する。
OCRの結果は、そのまま公開せずに校正します。
数字、記号、固有名詞、表のセルも含めて、原文と照合します。
PDF編集ソフトで別形式に書き出す
PDF編集ソフトの書き出し機能を使い、文書全体をテキストや文書ファイルへ変換する方法です。
手作業でコピーするより効率よく処理できる場合があります。
ただし、元のレイアウトが見た目どおりに残っていても、見出し、リスト、読み上げ順が適切に設定されているとは限りません。
書き出した後は、文書の構造も確認します。
オンライン変換ツールを使う
オンライン変換ツールは、ソフトを追加せずにPDFを別形式へ変換したい場合に使えます。
利用するときは、文書を外部サービスへアップロードしてよいかを先に確認します。
個人情報や社外秘の情報を含むPDFには、この方法を選ばない判断が安全です。
テキスト化の後に確認する項目
アクセシビリティを改善するには、抽出した文字だけでなく、文書をどの順序で理解できるかを確認します。
- 文字の正確さ:OCRの誤認識、文字抜け、不要な改行がないか。
- 文書の構造:タイトル、見出し、段落、リストが役割に合っているか。
- 読み上げ順:本文、注記、表などが自然な順序で扱われるか。
- 画像の説明:内容を伝える画像や図表に、目的に合った代替テキストがあるか。
- 読みやすさ:文字の大きさ、行間、文字色と背景色の組み合わせが読み取りを妨げていないか。
タグ付きPDFでは、見出し、段落、リストなどの役割を文書の構造として示します。
テキスト化した後にタグと読み上げ順を整えることで、スクリーンリーダーが内容を解釈しやすくなります。
表やフォームを含む文書まで確認したい場合は、PDFアクセシビリティの実務ガイドも参照できます。
代替テキストは、画像の見た目を機械的に説明するものではありません。
文書の中でその画像が伝えている情報を、簡潔な言葉で補います。
画像の種類に応じた考え方は、画像と代替テキストのアクセシビリティガイドで整理しています。
公開前の確認手順
- 文字を選択できるか調べ、PDFの状態を判定する。
- コピー、OCR、書き出し、オンライン変換から方法を選ぶ。
- 変換結果を原文と照合し、誤認識と読む順序を直す。
- 見出し、リスト、代替テキストなどの構造を整える。
- 検索、コピー、読み上げを実際に試してから公開する。
PDFのテキスト化は、情報を検索し、再利用し、支援技術で扱いやすくするための出発点です。
変換方法の選択と変換後の確認を一続きの作業として扱うことで、見た目だけでなく内容の伝わり方まで改善できます。
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