韓国のウェブアクセシビリティを理解するには、法律と技術標準を分けて読む必要があります。
法律は誰にどのような配慮を求めるかを定め、KWCAGはウェブコンテンツをどのように設計し、評価するかを具体化します。
ウェブアクセシビリティとは、障害の有無や利用環境にかかわらず、ウェブ上の情報を受け取り、機能を操作できるようにする考え方です。
文字の拡大だけでなく、画像の代替テキスト、キーボード操作、見出し構造、入力エラーの伝え方なども対象になります。
法律と技術標準の役割
韓国の制度は、障害者差別禁止法とKWCAGという二つの層で捉えると整理しやすくなります。
法律上の義務と技術標準への適合は関係しますが、同じものではありません。
| 仕組み | 主な役割 | 実務での読み方 |
|---|---|---|
| 障害者差別禁止法 | 障害のある人が情報やサービスへ平等にアクセスし、利用するための権利と配慮義務を定める | 組織やサービスが適用対象になるかを現行法と施行令で確認する |
| KWCAG | ウェブコンテンツをアクセシブルにするための技術的な基準を示す | 対象とする版を確認し、個々の検査項目に沿って設計と評価を行う |
障害者差別禁止法が定める情報アクセス
韓国の障害者差別禁止法は、障害のある人が障害のない人と同等に電子情報などへアクセスし、利用できるよう、対象となる行為者に必要な手段の提供を求めています。
施行令では、その手段の一つとして、身体的または技術的な条件にかかわらずサービスを利用できるウェブサイトが示されています。
適用範囲はサイトの運営主体だけでは決まらない
「公共機関には義務があり、民間企業にはない」あるいは「すべての企業に同じ要件が一律に適用される」と理解するのは正確ではありません。
運営主体、提供する情報やサービス、利用場面、現行法と施行令を照らして、対象範囲を確認する必要があります。
同じ理由から、基準を一つ満たせば法的な問題がすべて解消するとも限りません。
罰則や救済を含む個別の法的判断が必要な場合は、韓国の最新法令を確認し、現地の専門家へ相談することが適切です。
KWCAGが示すウェブ設計の基準
KWCAGは、Korean Web Content Accessibility Guidelinesの略称で、韓国のウェブコンテンツアクセシビリティ標準です。
韓国の公式資料で現在参照されている国家標準はKWCAG 2.2であり、古い版を前提に点検を続けないよう注意が必要です。
KWCAGは、国際的なWeb Content Accessibility Guidelines(WCAG)の考え方を踏まえ、次の四原則からウェブコンテンツを捉えます。
- 認識可能:画像の意味を代替テキストで伝え、音声情報には字幕などの代替手段を用意します。
- 操作可能:マウスだけに依存せず、キーボードでも機能へ移動して操作できるようにします。
- 理解可能:見出し、ラベル、説明、エラーメッセージを分かりやすくし、予測しやすい操作にします。
- 堅牢:見出しやフォームの構造を適切に記述し、ブラウザーや支援技術が内容を解釈しやすくします。
適合レベルにはA、AA、AAAがありますが、特定のレベルがあらゆる組織に一律の法的義務として適用されると決めつけることはできません。
まず法的な適用範囲を確認し、そのうえで採用すべき標準と達成基準を決めます。
スマートフォンで表示するウェブコンテンツと、端末にインストールするモバイルアプリも区別が必要です。
韓国の公的な案内では、ウェブコンテンツとモバイルアプリに別の指針が示されているため、対象に合った基準を選びます。
KWCAGの位置付けをさらに確認する場合は、米国、EU、英国、日本、韓国のウェブアクセシビリティ政策比較も参照してください。
公共機関と民間企業で異なる確認点
公共機関
公共機関のウェブサイトは、行政情報や申請など、生活に必要なサービスへの入口になることがあります。
公開時の検査だけで終えず、コンテンツの更新、機能の追加、利用者からの指摘に合わせて改善を続ける運用が必要です。
民間企業
民間企業では、ECサイトの購入、金融サービスの手続き、医療機関の予約など、操作できないことがサービス利用の中断に直結する場面があります。
企業規模だけで判断せず、提供するサービスと利用者が完了すべき操作を基準に優先順位を付けます。
法的な対象範囲の確認と、利用上の障壁を減らす設計は別々に進めるものではありません。
適用の有無を確認しながら、実際の利用者が情報取得や操作を完了できるかも検証します。
担当者が進める確認手順
- 対象を特定する:運営主体、サービス、ウェブサイト、モバイルアプリのどれを評価するかを分けます。
- 現行の根拠を確認する:最新の法令、施行令、KWCAGを確認し、古い版や二次情報だけで判断しないようにします。
- 主要な利用手順を点検する:情報検索、申請、購入、予約、問い合わせなど、利用者が完了すべき流れを選びます。
- 複数の方法で検証する:自動チェックだけに頼らず、キーボード操作、読み上げ、拡大表示、入力エラーなどを人の操作でも確認します。
- 更新後も改善する:担当者、確認時期、指摘の受付方法を決め、変更のたびにアクセシビリティが損なわれていないかを見直します。
公開後の点検と改善体制については、公開後も続けるウェブアクセシビリティの試験と運用で詳しく解説しています。
韓国の制度を実務へつなげる
韓国では、障害者差別禁止法が平等な情報アクセスの枠組みを示し、KWCAGがウェブコンテンツを設計して評価するための基準を示しています。
公共機関と民間企業のどちらでも、法令の適用範囲、採用する標準、利用者が完了すべき操作を分けて確認することが出発点です。
制度や標準は改正されるため、実装時には韓国の公式情報で最新版を確認してください。
本記事は制度の全体像を説明するもので、個別案件に対する法的助言ではありません。
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