聴覚障害者に配慮したウェブデザイン:字幕、視覚通知、手話、テストの実践ポイント

Man talking smartphone using the voice recognition.

ウェブアクセシビリティとは、障害の有無や利用環境にかかわらず、ウェブ上の情報や機能を利用できるように設計する取り組みです。

聴覚障害者に配慮する際は、動画、ライブ配信、通知を音声だけで伝えないことが出発点になります。

ここでいう聴覚障害者には、音が聞こえない人だけでなく、聞こえにくい人も含まれます。

必要とする情報の受け取り方は一人ひとり異なるため、字幕、文字、視覚的な通知、手話などから、コンテンツに合う手段を組み合わせます。

音声だけの情報が生む利用上の壁

音声が唯一の伝達手段になると、内容を確認できないだけでなく、通知の発生やライブ配信の進行にも気づけない場合があります。

  • 動画や音声:会話や説明が音声だけでは、内容を把握できないことがあります。
  • 通知や警告:エラー音やチャイムだけでは、何が起きたのかを判断できません。
  • ライブ配信:会話をリアルタイムで文字として確認できないと、参加や理解が難しくなります。

対策は「音をなくすこと」ではありません。

音で伝えている情報と同じ目的を果たす手段を、目で確認できる形でも用意することです。

文字起こしと字幕を使い分ける

文字起こしは、音声の内容を文章として読める形にしたものです。

ポッドキャストや録画した会議に文字起こしを添えると、音声を再生せずに内容を確認できます。

字幕は、動画を見ながら会話や音の情報を追うための文字表示です。

話している人が画面だけでは分かりにくい場合は話者名を示し、内容の理解に必要な拍手や音楽なども文字で補います。

外国語の動画に翻訳字幕を付ける場合も、元の意味が変わっていないかを確認します。

自動字幕は公開前に見直す

自動字幕は作成作業を助けますが、誤認識が残ることがあります。

公開前に再生しながら全文を確認し、専門用語、固有名詞、数字、話者の区別を修正します。

字幕に加えて再生操作やテキスト要約も整える場合は、アクセシブルな動画掲載の確認ポイントも参考になります。

音声通知には意味が分かる視覚表示を添える

エラー音やチャイムを使う場合は、画面上にもメッセージを表示します。

例えば、エラー音と同時に「入力内容を確認してください」と表示すれば、音を聞けない状況でも次の操作が分かります。

画面の色を変える場合も、色だけに意味を持たせず、何が起きたのかを示す文言を併記します。

修正や再入力が必要な通知では、問題の内容と利用者が取るべき行動を同じ場所に示すと、迷いを減らせます。

ライブ配信にはリアルタイム字幕を用意する

リアルタイム字幕は、ライブ配信やオンラインイベントの会話を、その場で文字として表示する仕組みです。

提供方法には、字幕作成者に依頼する方法と、自動字幕サービスを利用する方法があります。

どちらを選ぶ場合も、会話の内容が適切に表示されるかを事前に試し、本番中も表示状態を確認できる担当者を決めておきます。

字幕が途切れた場合に備え、資料や要点を文字でも共有できるようにすると、参加者が内容を追いやすくなります。

手話は利用者と情報の性質に合わせて検討する

情報を受け取るために手話を使う人もいます。

公共性の高い案内や正確な理解が求められる情報では、テキストや字幕に加えて、手話通訳付き動画を用意する方法を検討します。

ただし、必要な手段は利用者によって異なります。

手話動画を導入するときも、提供側だけで分かりやすさを判断せず、対象となる利用者が意味を受け取れるかを確認します。

当事者を交えたユーザーテストで確かめる

ユーザーテストは、想定する利用者に実際の画面を使ってもらい、目的の情報や操作にたどり着けるかを確かめる方法です。

字幕を付けただけで完了とせず、聴覚障害のある参加者から、読みやすさや通知の分かりやすさについて意見を得ます。

  1. 録画動画、ライブ配信、音声通知など、確認する場面を選びます。
  2. 音声を聞かなくても内容を理解し、必要な操作を完了できるかを試してもらいます。
  3. 字幕の誤り、表示位置、話者の区別、通知文の分かりにくさを記録します。
  4. 修正後に同じ場面を再確認し、問題が解消したかを確かめます。

自動検査、手動確認、当事者による確認の役割を整理したい場合は、アクセシビリティテストの組み立て方も確認してください。

場面別の対応早見表

音声を含むコンテンツの対応例
場面 用意する手段 公開前の確認
録画動画 字幕、必要に応じて文字起こし 誤認識、話者名、重要な音の説明
ポッドキャスト 文字起こし 本文との食い違い、専門用語、固有名詞
ライブ配信 リアルタイム字幕 会話内容の表示と運用担当者
エラー音やチャイム 画面上のメッセージ 通知の意味と次の操作が分かるか
重要な案内 テキスト、字幕、必要に応じて手話 対象となる利用者に意味が届くか

公開前チェックリスト

  • 音声だけで伝えている情報が残っていないか。
  • 録画動画の字幕と文字起こしを確認したか。
  • ライブ字幕を本番前に試したか。
  • 音声通知と同時に、意味の分かるメッセージを表示しているか。
  • 字幕や手話動画が他の表示や操作部品に隠れていないか。
  • 聴覚障害のある利用者による確認を改善に反映したか。

聴覚障害者に配慮したウェブデザインは、字幕を追加するだけでは完了しません。

音声で伝えている内容、通知、操作の意味を洗い出し、文字、視覚表示、手話を組み合わせて、音を聞かなくても同じ目的を達成できる状態を目指します。


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投稿者 greeden

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