欧州アクセシビリティ法(EAA)の要点|日本企業が確認すべき対象、例外、対応手順

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欧州アクセシビリティ法(EAA)は、一定の製品と消費者向けサービスについて、EU域内のアクセシビリティ要件をそろえるための指令です。
EU加盟国は国内法に反映した措置を2025年6月28日から適用しています。

日本企業も、対象製品をEU市場に出す場合や、対象サービスをEUの消費者に提供する場合には、事業者としての役割と提供国の国内法を確認する必要があります。
ただし、「EUで使われる製品やWebサイトはすべて対象」という制度ではありません。

本記事は制度の一般的な整理であり、個別案件の法的助言ではありません。
適用の有無と必要な手続きは、対象国の国内法、所管当局の案内、専門家の見解を併せて確認してください。

EAAの目的と現在の位置づけ

EAAの正式な法令は、2019年4月17日に採択されたDirective (EU) 2019/882です。
加盟国ごとに異なるアクセシビリティ要件を近づけ、対象となる製品とサービスをEU域内で流通させやすくするとともに、障害のある人が利用するときの障壁を減らすことを目的としています。

アクセシビリティとは、視覚、聴覚、身体、認知などの特性にかかわらず、必要な情報や機能を利用できる状態を指します。
文字を拡大できるだけでなく、支援技術で情報を取得できること、キーボードなど複数の方法で操作できること、エラーの内容を理解して修正できることも含まれます。

日本企業は何を基準に対象を判断するか

対象判定は会社の国籍やEU拠点の有無だけでは決まりません。
製品またはサービスの種類、EU市場との関係、サプライチェーン上の役割、提供先の加盟国を順に確認します。

確認軸 確認する内容
製品またはサービス EAAが列挙する対象区分に該当するか
市場と利用者 製品をEU市場に出すのか、対象サービスをEUの消費者に提供するのか
事業者の役割 製造者、輸入者、流通業者、サービス提供者のどれに当たるか
提供国 どの加盟国の国内法、監督機関、手続きが関係するか

たとえば、日本の事業者が運営する越境ECでも、EUの消費者との契約締結を目的とする電子商取引サービスであれば確認対象になり得ます。
一方、一般的な企業サイトやB2Bサービスが、Webサイトであるという理由だけで一律にEAAの対象になるわけではありません。

EAAが対象とする製品とサービス

欧州委員会のEAA概要と指令本文が示す主な対象は次のとおりです。
名称が似ていても用途によって扱いが変わるため、実際の製品仕様とサービス内容を条文に照らして判断します。

区分 主な対象
製品 一般消費者向けコンピューターとOS、決済端末、ATMや発券機などのセルフサービス端末、電子通信や映像サービスに使う一定の消費者向け端末、電子書籍リーダー
サービス 電子通信、映像メディアへのアクセス、旅客輸送の一定の要素、消費者向け銀行サービス、電子書籍、電子商取引
緊急通信 EU共通緊急番号112への緊急通信への応答

例外と経過措置

対象区分に見えても、指令上の零細企業が提供するサービスはアクセシビリティ要件から免除されます。
製品を扱う零細企業まで同じ形で免除されるわけではありません。

基本的な性質を変えるほどの変更や、事業者に不釣り合いな負担を課す要件については、限定的な扱いがあります。
ただし、単に負担があるという理由では足りず、指令の基準に沿った評価と記録が必要です。
詳しい考え方は、関連記事のEAAの免除規定と手続きでも確認できます。

2025年6月28日より前に締結したサービス契約や、同日より前からサービス提供に使っていた製品には経過措置があります。
2030年6月28日は一部の経過期間の終期であり、すべての製品について初めて義務が始まる日ではありません。

求められるアクセシビリティを実務に置き換える

EAAは、対象サービスの情報を複数の感覚経路で得られるようにし、理解できる形で示すことを求めています。
対象となるWebサイトやモバイルアプリには、知覚可能、操作可能、理解可能、堅牢という四つの性質が求められます。

実務では、次の確認から始めると説明と改修を結び付けやすくなります。

  • 画像やアイコンだけで伝えている情報に、適切なテキストの代替があるか
  • 購入、本人確認、支払いなどの主要な操作をキーボードでも完了できるか
  • 現在の操作位置が見て分かり、意図しない場所へフォーカスが移らないか
  • 入力エラーの箇所、理由、修正方法を文字で理解できるか
  • 文字を拡大しても、情報や操作部品が欠けないか
  • 画面読み上げソフトなどの支援技術で、名前、役割、状態を把握できるか

これらは法的な対象判定そのものではなく、利用上の障壁を早く見つけるための技術確認です。
自動検査だけでは操作の流れや説明の分かりやすさを判断しきれないため、キーボード操作と支援技術による手動確認を組み合わせます。

WCAGとの関係

元の記事では「WCAG 2.1 レベルAA準拠」をEAAの一律の義務としていましたが、指令本文は機能的なアクセシビリティ要件を定めています。
WCAGはWebコンテンツを設計し、試験するための有用な基準ですが、WCAGの達成だけで製品、文書、運用を含むすべての法的義務を確認したことにはなりません。

参照する規格や技術仕様は、対象国の国内法と欧州委員会が案内する整合規格の最新情報を確認します。
Web実装の変更点を整理するときは、関連記事のWCAG 2.2で追加された達成基準も参考になります。

製品とサービスでは適合対応が異なる

製品とサービスを同じ書類で処理すると、必要な証拠を取り違えます。
担当部門は、対象区分ごとに次の違いを押さえます。

対象 主な対応
製品 技術文書の作成、適合性評価、EU適合宣言、CEマーキング、変更後も適合を維持する管理
サービス 要件を満たす提供設計、適合方法を説明する公開情報、継続的に適合を保つ手順、不適合時の是正と当局への対応

製品の適合性評価は指令の附属書IVに内部生産管理として定められており、第三者機関の評価がすべての対象で一律に必須というわけではありません。
サービスについても、製品と同じEU適合宣言やCEマーキングをそのまま当てはめるのではなく、公開情報と運用手順を整えます。

適用開始後に進める六つの手順

  1. 対象を分類する:製品、サービス、Web機能、関連文書を棚卸しし、EAAの対象区分と対象外を分けます。
  2. 役割と国を特定する:製造者、輸入者、流通業者、サービス提供者の責任を整理し、提供先の国内法と所管当局を確認します。
  3. 要件表を作る:条文、国内法、参照する規格を、画面、機能、文書、サポート、運用の要件に置き換えます。
  4. 優先度を付けて検証する:購入、契約、認証、支払いなど、利用者が目的を完了するために欠かせない流れから手動検査を行います。
  5. 修正と再検証を記録する:問題、影響、修正内容、確認結果を残し、判断の根拠を追える状態にします。
  6. 公開後も更新する:機能追加やコンテンツ更新で障壁が再発しないよう、設計レビュー、受入試験、問い合わせ対応に確認項目を組み込みます。

部門ごとの進め方は、関連記事のWebアクセシビリティを発注、設計、実装、運用に組み込むチェックポイントで詳しく整理しています。

日本企業が押さえる結論

  • EAAは2025年6月28日から適用されており、現在は施行前の準備ではなく、対象判定と適合維持を進める段階です。
  • すべてのWebサイトや製品が対象ではないため、製品またはサービスの区分、EU市場との関係、事業者の役割、提供国を確認します。
  • WCAGによるWeb検査だけで終わらせず、文書、サポート、適合情報、改修後の運用まで同じ要件表で管理します。

対象が疑われる場合は、推測で対象外とせず、技術調査の結果を法務担当者や対象国の専門家が確認できる形に整えることが、最初の実務になります。

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EU向けサービスの点検では、法務確認とともに、利用者が実際に操作できるかを確かめる工程が欠かせません。株式会社greedenは、Webアクセシビリティチェックサービスを通じて、改善の出発点となる現状把握を支援しています。

投稿者 greeden

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