スマートフォンから得られる情報は、すべてが直ちに個人情報になるわけではありません。
機種名やOSのように端末の状態を示す情報もあれば、氏名や会員情報と結び付くことで特定の利用者を識別できる情報もあります。
判断の分かれ目は、その情報が「端末についての情報か、人についての情報か」だけではありません。
誰がどの情報を持ち、ほかの情報とどの程度容易に照合できるかまで確認する必要があります。
端末情報と個人情報の違い
個人情報は、日本の個人情報保護法では、生存する個人に関する情報のうち、氏名などによって特定の個人を識別できるものを指します。
ほかの情報と容易に照合することで個人を識別できるものや、法令で定める個人識別符号を含むものも該当します。
端末情報は、スマートフォンやタブレットの機種、OS、設定、識別子、通信環境などを表す広い呼び方です。
これは法律上の一つの分類名ではなく、含まれる情報と利用状況によって扱いが変わります。
| 区分 | 主な例 | 判断のポイント |
|---|---|---|
| 個人情報 | 氏名、住所、顔画像、特定の個人と容易に照合できる会員情報 | その情報だけで、または容易な照合によって個人を識別できるか |
| 個人関連情報 | 個人情報に当たらないCookie等の端末識別子に結び付いた閲覧履歴、位置情報、購買履歴など | 生存する個人に関する情報だが、取り扱う側で個人を識別できない状態か |
| 一般的な端末情報 | 機種名、OSの種類、画面サイズ、使用言語など | 単体では特定の個人を識別できない情報か |
同じ識別子でも、会員情報と容易に照合できる事業者が扱えば個人情報になり得ます。
一方、個人を識別できない状態でも、利用者の行動に結び付く情報にはプライバシー上の配慮が必要です。
スマホから扱われる情報の種類
「端末情報」という一語でまとめると、端末の仕様、識別子、利用履歴、アプリが権限を得てアクセスするデータが混同されます。
次の四つに分けると、何を確認すべきかが見えやすくなります。
端末の仕様と設定
- 機種名やモデル名
- OSの種類とバージョン
- 画面サイズや解像度
- 使用言語やタイムゾーン
- バッテリーやストレージの状態
これらは、画面表示を端末に合わせたり、動作条件を判断したりするために使われることがあります。
ただし、取得できる項目はOS、ブラウザ、アプリの権限や設定によって異なります。
端末や通信を識別する情報
- 端末のシリアル番号やIMEIなどの端末識別番号
- SIMカードに関する識別子
- IPアドレス
- 広告ID
- Cookieなど、ブラウザや利用状態を区別するための識別子
識別子は、氏名が書かれていなくても同じ端末やブラウザからの利用を継続して区別する手掛かりになります。
すべてのアプリやWebサイトが上記の情報を自由に取得できるわけではなく、OSの制限や権限、実装によって取得範囲は変わります。
利用状況とログ
- アプリの利用履歴
- クラッシュログやエラーログ
- Webサイトの閲覧履歴
- 広告IDやCookieに結び付いた行動履歴
- 位置情報の履歴
ログは一件だけでは個人を識別できなくても、識別子や会員情報と組み合わせて継続的に蓄積されると、利用者ごとの行動を示す情報になります。
Cookieを利用するWebサイトでは、取得目的を伝え、利用者が選択しやすい画面にすることも大切です。
同意画面の実装は、Cookie同意画面の設計とアクセシビリティも参考になります。
アプリの権限でアクセスするデータ
- 位置情報
- 連絡先
- 写真
- マイクやカメラから得られるデータ
これらは端末の機種や設定を示す情報ではなく、端末内にある利用者のデータ、またはセンサーから得られるデータです。
「端末情報」という名前だけで一括りにせず、何へのアクセスを許可するのかを個別に確認する必要があります。
端末情報が個人情報になり得る場面
端末情報の分類は、データの名前だけでは決まりません。
取り扱う事業者が保有する情報と照合した結果、特定の個人を識別できるかが判断材料になります。
ログイン情報と端末識別子が結び付く場合
会員制アプリがログインIDと端末識別子を容易に照合できる状態で管理していれば、端末に由来する識別子も、その事業者にとって個人情報の一部になり得ます。
機種名だけを把握している場合とは、情報の意味も管理上の注意点も異なります。
Cookieと行動履歴が蓄積される場合
Cookie等の端末識別子に結び付いた閲覧履歴は、それだけで個人を識別できなければ個人関連情報に当たり得ます。
その情報が会員情報などと容易に照合でき、個人を識別できる状態になれば、全体として個人情報になり得ます。
一台の端末を複数人で使う場合
家族や職場で端末を共有することもあるため、「一つの端末識別子は必ず一人を表す」とは限りません。
端末の所有者、契約者、実際の利用者を自動的に同一人物とみなさず、利用状況に応じて判断する必要があります。
利用者が確認したい四つの項目
1.アプリの権限は目的に合わせて選ぶ
位置情報、連絡先、写真、マイク、カメラへのアクセスを求められたら、その機能に本当に必要かを確認します。
選択肢がある場合は「常に許可」よりも「使用中のみ」など、必要な範囲に絞り、使わなくなった権限は端末の設定から見直します。
2.広告とトラッキングの設定を見直す
iPhoneでは、プライバシーとセキュリティの設定から、アプリごとのトラッキング許可を確認できます。
Androidでは、設定内の広告に関する項目から、広告のプライバシー設定や広告IDの管理を確認できます。
画面名や配置はOSのバージョンや端末によって変わることがあるため、見つからない場合は設定画面で「広告」や「トラッキング」を検索してください。
広告IDの削除やリセットは、その識別子の利用を制御する手段です。
各サービスがすでに保有する会員情報や履歴まで一括して消去する操作ではないため、必要に応じて各アプリのプライバシー設定やアカウント設定も確認します。
3.プライバシーに関する説明を読む
アプリやWebサービスの説明では、収集する情報の名称だけでなく、利用目的、第三者への提供、保存や削除に関する案内を確認します。
「端末情報を取得します」という説明だけでは範囲が広いため、具体的な項目が示されているかを見ると判断しやすくなります。
4.公共Wi-Fiは通信の安全と分けて考える
公共Wi-Fiの注意点は、端末情報が個人情報かどうかという分類とは別に、通信や接続先の安全をどう確保するかという問題です。
提供元を確認できないアクセスポイントには接続せず、ネットワークを信頼できない場合はモバイル回線を使うなど、状況に応じて接続方法を選びます。
よくある疑問
機種名やOSだけで個人情報になりますか
機種名やOSの種類だけでは、通常は特定の個人を識別できません。
ただし、ほかの情報との組み合わせや、取り扱う側が照合できる情報によって結論は変わります。
端末IDがあれば持ち主を特定できますか
端末IDは端末を区別する手掛かりですが、それだけで利用者の氏名まで分かるとは限りません。
契約者情報や会員情報と容易に照合できる立場では、個人を識別できる場合があります。
広告IDを削除すれば追跡履歴もすべて消えますか
広告IDの削除は、その識別子の利用を制限する操作です。
サービスごとに保有されている履歴やアカウント情報の削除とは別なので、各サービスの説明と設定を確認する必要があります。
端末情報を確認するときの要点
- 端末情報という名前だけで、個人情報ではないと決めつけない
- 氏名の有無だけでなく、ほかの情報と容易に照合できるかを見る
- 端末の仕様、識別子、利用履歴、権限で取得するデータを分けて考える
- アプリ権限と広告設定は必要な範囲に絞る
- 収集項目だけでなく、利用目的と削除方法も確認する
端末情報と個人情報の境界は、情報の名称ではなく、内容と結び付き方によって変わります。
利用者は権限と設定を定期的に見直し、サービス提供者は取得から保存、照合、削除までを一つの流れとして設計することが大切です。
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端末情報を適切に扱うには、収集項目だけでなく、利用目的や会員情報との結び付け方まで設計する必要があります。株式会社greedenは、要件定義からデータ設計、権限設計、保守運用まで一気通貫のWebシステム開発を支援しています。
