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欧州アクセシビリティ法(EAA)とは?2025年適用開始後に日本企業が確認すべき対象と実務

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欧州アクセシビリティ法(European Accessibility Act、EAA)は、EU域内で提供される特定の製品とサービスについて、アクセシビリティ要件の違いを減らすための指令です。
EU加盟国は指令を国内法へ反映し、2025年6月28日から関連措置の適用を始めています。

EAAは、EUから閲覧できるすべてのウェブサイトへ一律に適用される制度ではありません。
自社の製品やサービスが対象区分に含まれるか、EU市場との関係は何か、どの加盟国の国内法を確認すべきかを順に整理する必要があります。

この記事では、EAAの対象範囲、零細企業の扱い、EN 301 549とWCAGの役割を分け、日本企業が社内で確認を進める手順を解説します。

法務上の注意:本記事は一般的な情報整理です。
実際の適用範囲、免除、経過措置、制裁は加盟国の国内法や個別事情によって異なるため、対象国の公的情報と専門家の見解を確認してください。

EAAが整えるアクセシビリティ要件

アクセシビリティとは、障害の有無や年齢によって製品やサービスの情報、機能、手続を利用できない状態を減らす考え方です。
EAAは、加盟国ごとに異なる規則がEU域内の取引を妨げないよう、対象分野の要件を近づけることを目的としています。

共通の要件は、企業にとっては国ごとの差を確認する負担の軽減につながります。
利用者にとっては、障害のある人や高齢者が日常的な製品やサービスを選び、利用できる機会を広げる土台になります。

EAAの主な対象製品とサービス

EAAは、製品やサービスを限定して対象にしています。
自社に関係する区分を先に見つけ、その後で個別要件を確認すると、調査範囲を絞りやすくなります。

EAAが主な対象とする製品とサービス
区分 主な例
製品 コンピューターとオペレーティングシステム、ATMやチケット発券機などのセルフサービス端末、スマートフォン、デジタルテレビ関連機器
サービス 電話サービス、音声映像メディアへアクセスするサービス、航空やバス、鉄道、水上交通に関する旅客輸送サービス、消費者向け銀行サービス、電子書籍、電子商取引サービス

ウェブサイトやアプリは、それ自体の名称だけで対象になるとは限りません。
たとえばECサイトは電子商取引サービスとの関係を確認し、交通機関のアプリは予約、電子チケット、運行情報など対象サービスとの結び付きを確認します。

日本企業にも適用される可能性がある

企業の所在地がEU域外でも、対象となる製品をEU市場へ供給したり、対象サービスをEUの消費者へ提供したりする場合は、EAAを反映した国内法の確認が必要です。
「日本法人だから対象外」とは判断できません。

一方、EUからアクセスできるという事実だけで、すべての日本企業のサイトが対象になるわけでもありません。
次の四点を事業単位で確認します。

  1. 製品またはサービスの区分:EAAが列挙する対象に当てはまるか。
  2. 提供先:どのEU加盟国の市場や消費者と関係するか。
  3. 提供方法:ウェブサイト、アプリ、端末、説明書、サポートを含む利用の流れはどうなっているか。
  4. 企業の立場:製品を供給する側か、サービスを提供する側か。免除や国内法上の扱いを確認する必要があるか。

ソフトウェア、EC、電子機器の業界別の論点は、関連記事「日本企業が対応すべきEAAの影響」でも整理しています。

零細企業の免除を正しく読む

零細企業は、従業員が10人未満で、年間売上高または年間貸借対照表合計額が200万ユーロ以下の企業を指します。
二つの条件を別々の免除要件として扱わないよう注意が必要です。

EAAでは、対象サービスを提供する零細企業に適用除外が設けられています。
この扱いを、対象製品を供給する零細企業まで含む全面的な免除と読み替えることはできません。

免除に当てはまる可能性がある場合も、企業規模、提供物、対象国の国内法を照合してから判断します。
契約上の要件や利用者の困りごとは別に残るため、免除の有無とアクセシビリティ改善の必要性は分けて検討します。

違反時の扱いは加盟国ごとに確認する

EAAはEU指令であり、執行や制裁の具体像は加盟国の国内法で定められます。
不適合が確認された場合、是正要求、罰金などの制裁、製品やサービスの販売または提供への制限につながる可能性があります。

したがって、「EU全域で一律に同じ罰金が科される」と考えるのは適切ではありません。
自社が提供する国ごとに、監督当局、手続、制裁、相談窓口を確認します。

採択から適用開始までの流れ

現在は「施行前の準備」ではなく、適用開始後の確認と改善の段階です。
新規開発だけでなく、既存の製品、サービス、契約、運用についても、対象国の国内法と経過措置を確認する必要があります。

EN 301 549とWCAGの役割

EAAへの技術対応を考える際には、EN 301 549とWCAGがよく参照されます。
ただし、法律、ICT規格、ウェブ向けガイドラインは役割が異なります。

EAA、EN 301 549、WCAGの違い
文書 役割 実務での読み方
EAAと加盟国の国内法 対象となる製品やサービス、事業者の義務、免除、執行の枠組みを定める 自社が法的な対象かを判断する出発点
EN 301 549 ICT製品とサービスのアクセシビリティ要件を整理した欧州規格 ウェブ以外も含む技術要件と評価項目の確認に使う
WCAG ウェブコンテンツを知覚可能、操作可能、理解可能、堅牢にするための国際的なガイドライン ウェブページやアプリのコンテンツを設計、実装、評価する基準として使う

「WCAG 2.1のレベルAAに準拠すれば、それだけでEAA対応が完了する」とは断定できません。
WCAGはウェブコンテンツの評価に有用ですが、EAAは対象製品やサービス全体を扱い、加盟国の国内法による確認も必要だからです。

EN 301 549とWCAGの関係や、公共機関向けのEUウェブアクセシビリティ指令との違いは、「EUウェブアクセシビリティ指令の対象範囲、基準、期限、例外」で詳しく解説しています。

EAA対応を進める六つの手順

  1. 対象範囲を確定する:製品やサービス、提供国、企業の立場、免除の可能性を法務担当者と整理します。
  2. 利用の流れを棚卸しする:ECであれば、商品検索、選択、購入、決済、確認、問い合わせまでを一つの流れとして確認します。
  3. 要件を対応表にする:国内法、契約、EN 301 549、WCAGから、自社に関係する要件と担当部門を対応付けます。
  4. 利用を妨げる箇所から直す:キーボード操作、フォーカス表示、文字と背景のコントラスト、画像の代替テキスト、フォームのラベルとエラー表示、動画の字幕などを確認します。
  5. 自動検査と人による確認を組み合わせる:検査ツールの結果だけで完了とせず、実際の操作手順や支援技術で利用できるかを確かめます。
  6. 記録して運用へ戻す:対象範囲の判断、検査結果、修正内容、未対応事項を残し、機能追加やコンテンツ更新のたびに見直します。

部門ごとの役割を決める

EAA対応で整理したい社内の役割
担当 主な役割
経営と事業責任者 対象事業、優先順位、予算、期限を決める
法務とコンプライアンス 対象国の国内法、適用範囲、免除、契約上の責任を確認する
企画、デザイン、開発、コンテンツ 要件を仕様へ落とし込み、設計、実装、修正を進める
品質保証とカスタマーサポート 検査結果と利用者からの問い合わせを記録し、改善につなげる

アクセシビリティ対応を公開直前の検査だけにすると、設計やコンテンツの修正範囲が広がりやすくなります。
要件定義、設計レビュー、受入試験、運用改善へ分けて組み込むと、担当者と判断時期が明確になります。

よくある質問

日本企業のウェブサイトも必ず対象ですか

必ず対象になるわけではありません。
EAAが対象とする製品やサービスをEU市場で提供しているかを確認し、そのうえで関係する加盟国の国内法を調べます。

従業員が10人未満なら免除されますか

従業員数だけでは判断できません。
年間売上高または年間貸借対照表合計額の条件も確認し、さらにEAA上の零細企業の免除はサービス提供者に関するものとして整理する必要があります。

WCAGのレベルAAを満たせば法令対応は完了ですか

WCAGへの適合だけで、EAAと加盟国の国内法への適合を自動的に証明できるわけではありません。
WCAGはウェブの技術評価に使い、製品やサービス全体の義務は法令と関連規格で別に確認します。

最初にどこから着手すべきですか

先に対象範囲を確認し、その後に利用者が目的を達成するまでの流れを検査します。
対象が曖昧なままページ単位の修正を始めると、優先順位と完了条件を決めにくくなります。

参考情報

EAA対応で持ち帰るべき結論

EAA対応は、ウェブサイトの見た目を直す作業だけではありません。
対象製品とサービス、提供国、企業の立場を法務面から確認し、利用の流れを技術面から検査して、改善を運用へ組み込む取り組みです。

日本企業は、EUとの取引や消費者向けサービスの有無を入口に対象範囲を整理し、法務、企画、デザイン、開発、品質保証が同じ対応表を使える状態を目指します。

この記事に関連する株式会社greedenの取り組み

EAA対応では、対象範囲の確認とWebサイトの継続的な点検、改善を分けて進める必要があります。
株式会社greedenは、Webアクセシビリティ機能を追加できるUUUとチェックサービスを提供し、使いやすいサイトづくりを支援しています。

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