達成基準3.2.6「一貫したヘルプ」(Level A)は、同じページ群で繰り返し提供するヘルプを、ページ内容に対して同じ相対順序に置くことを求めるWCAG 2.2の基準です。
問い合わせ先やFAQを探すたびに位置関係が変わると、利用者は本来の作業に加えて、支援の入口を探し直さなければなりません。
ヘルプの見つけ方を予測できるようにすることが、この基準の狙いです。
WCAG 2.2で追加された達成基準の全体像を先に確認したい場合は、WCAG 2.2で追加された達成基準の実務解説もあわせて参照してください。
達成基準が適用される範囲
この基準は、あるウェブページに対象となるヘルプがあり、その仕組みが同じページ群の複数ページで繰り返される場合に適用されます。
ページ群とは、同じサイト内で共通の目的や手順に属するページのまとまりです。
たとえば、商品購入の各画面、会員向けサービスの各画面、同じテンプレートを使う記事ページなどが確認単位になります。
一方、この達成基準だけを根拠に、すべてのページへ新しいヘルプを追加する必要はありません。
ヘルプが複数ページで繰り返されるときに、その相対順序を揃える基準です。
ヘルプはページ内に直接表示しても、問い合わせページやFAQへの直接リンクとして提供しても構いません。
対象となる4種類のヘルプ
対象は、次の4種類です。
| 種類 | 内容 | 例 |
|---|---|---|
| 人に連絡するための情報 | 担当者や組織へ連絡するための情報 | 電話番号、メールアドレス、受付時間 |
| 人に連絡するための仕組み | 利用者が担当者へ問い合わせる機能 | 問い合わせフォーム、有人チャット、メッセージ機能 |
| 自分で調べるための選択肢 | 利用者が解決方法を探せる情報 | FAQ、サポートページ、操作ガイド |
| 完全に自動化された連絡手段 | 人が応答せずに案内する仕組み | チャットボット |
この分類は、ヘルプの優先順位を示すものではありません。
サイトで採用している手段のうち、複数ページで繰り返すものを確認します。
「同じ相対順序」の意味
同じ相対順序とは、ヘルプが他のページ内容の前後関係に対して、毎回同じ位置に現れることです。
画面上の座標を完全に一致させるという意味ではありません。
ページを上から順に並べたとき、共通ヘッダー、主要ナビゲーション、ヘルプ、本文、フッターという順序なら、同じページ群でもこの関係を保ちます。
共通ヘッダー
主要ナビゲーション
サポートへのリンク
ページ固有の本文
共通フッター
別のページだけサポートへのリンクを本文の後へ移すと、ヘルプと他の内容との前後関係が変わります。
CSSで見た目だけを同じ場所へ動かしても、文書の並び順が異なれば、この基準の確認では問題になり得ます。
反対に、レスポンシブ表示によって見た目の位置が変わっても、同じ表示条件のページ同士で相対順序が保たれていれば、直ちに不適合になるわけではありません。
ズームや画面の向きなど、利用者の操作で表示形式が変わる場合は、同じ表示条件にそろえてページ間を比較します。
規格上の表現は、W3Cの達成基準3.2.6と「一貫したヘルプ」の解説文書で確認できます。
共通テンプレートで実装する方法
ヘルプの配置ずれを防ぐには、ヘッダー、ナビゲーション、フッターなどの共通テンプレートにヘルプへの入口を組み込みます。
ページごとに同じHTMLを手作業で複製すると、改修時に一部のページだけ順序が変わる可能性があるためです。
次の例では、主要ナビゲーション内の最後にサポートへのリンクを置いています。
<header>
<nav aria-label="主要なナビゲーション">
<ul>
<li><a href="/">ホーム</a></li>
<li><a href="/service/">サービス</a></li>
<li><a href="/support/">サポート</a></li>
</ul>
</nav>
</header>
<main id="main-content">
<!-- ページ固有の本文 -->
</main>
FAQをフッターに置く場合も、共通フッターの同じ位置へ組み込みます。
チャット機能を使う場合は、同じページ群で共通コンポーネントを呼び出し、文書内の挿入位置も揃えます。
よくある誤解と失敗例
ヘルプを全ページに追加しなければならない
「一貫したヘルプ」は、ヘルプの新設そのものを要求する基準ではありません。
対象となるヘルプを複数ページで繰り返す場合に、その相対順序を揃えます。
画面の同じ隅にあれば十分である
見た目の位置だけでは判定できません。
固定表示のチャットボタンが全ページで右下に見えていても、ページごとに文書内の順序が変わっていれば、相対順序を確認する必要があります。
問い合わせリンクの名称だけ揃えればよい
リンク名の統一と配置順序の統一は、別の確認事項です。
同じ「お問い合わせ」という名称でも、あるページではヘッダー、別のページでは本文末に置かれていれば、一貫したヘルプの要件を満たさない可能性があります。
自動検査だけで確認できる
自動検査ツールは、個々のページのHTMLやアクセシブルな名前を調べる補助にはなります。
しかし、どのページを同じページ群として扱うか、ヘルプが他の内容に対して同じ順序かという判断には、ページ間の手動比較が必要です。
手動テストの手順
- ページ群を決める:同じ目的、手順、テンプレートに属するページをまとめます。
- ヘルプを洗い出す:連絡先、問い合わせ機能、FAQ、チャットボットなどを一覧にします。
- 代表ページを選ぶ:通常ページだけでなく、入力画面、確認画面、エラー画面など、構造が変わりやすいページも含めます。
- 相対順序を比べる:文書を上から順に確認し、ヘルプの前後にある共通内容がページ間で一致するかを調べます。
- 同じ表示条件で比べる:画面幅、ズーム、画面の向きなどをそろえます。
- 例外を確認する:順序の変更がある場合は、利用者自身の操作によるものかを確認します。
- 入口の動作も確認する:リンク切れがなく、リンク名やボタン名から目的を理解できることを確かめます。
サイト全体の検査計画や自動検査との分担は、アクセシビリティテスト実践ガイドで詳しく解説しています。
実装と確認のチェックリスト
- 同じページ群を明確にしたか
- 4種類のうち、サイトで繰り返しているヘルプを洗い出したか
- ヘルプと共通内容との前後関係がページ間で一致しているか
- 共通テンプレートや共通コンポーネントで配置を管理しているか
- 同じレスポンシブ表示の条件で比較したか
- 自動検査だけで完了せず、ページ間を手動で比較したか
相対順序を揃えると、認知や学習に困難のある利用者は、問い合わせ先や自己解決の手段を探し直す負担を減らせます。
スクリーンリーダーなどで内容を順にたどる利用者にとっても、予測しやすい構造になります。
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