ウェブページの内容は、表示されるだけでは十分ではありません。読者が目的をつかみ、必要な情報を見つけ、次の行動を判断できる文章にする必要があります。
読解レベルとは、文章の内容を理解するために必要な読み取りの難しさを指します。難しい言葉を減らすことだけが目的ではありません。必要な情報を残したまま、読者にとって不要な負担を減らすことが目的です。
この記事では、JIS X 8341-3とWCAGに関連する「読解レベル」を手がかりに、ウェブコンテンツを分かりやすく整える方法を解説します。
規格の論点と編集方法を分けて考える
JIS X 8341-3やWCAGへの対応を考えるとき、文章を短くするだけで適合性が決まるわけではありません。元記事で挙げていた「短い文」「箇条書き」「見出し」は、規格本文から切り出した一律の判定項目ではなく、内容の理解を助ける編集方法として捉えると実務に生かしやすくなります。
文章を簡単にしすぎて必要な条件や注意点を落とすと、かえって誤解を招きます。専門用語が必要な場面では用語を消さず、最初に意味を説明します。長い説明が必要なら、論点ごとに段落や見出しを分けます。
読解を難しくする四つの原因
| 原因 | 読者が困ること | 編集上の対応 |
|---|---|---|
| 専門用語や略語 | 意味を調べないと先へ進めない | 初出で短い定義や正式名称を添える |
| 一文に複数の論点 | 条件と結論の関係を追いにくい | 一文一論点を目安に分ける |
| 構造の不足 | 必要な情報の位置が分からない | 内容を表す見出しやリストで整理する |
| 曖昧な指示語 | 「これ」「上記」が何を指すか迷う | 対象の名称や行動を具体的に書く |
文字サイズや行間といった見た目の読みやすさも大切ですが、文章の意味を理解しやすいかどうかとは分けて確認します。文字が見やすくても、用語の説明や論理の順序が不足していれば内容は伝わりません。
読解レベルを整える五つの手順
1.目的と結論を先に示す
導入では、ページが何を説明し、読者が何を判断できるのかを先に示します。背景説明が長く続くと、必要な情報にたどり着く前に読む目的を見失いやすくなります。
たとえば「本サービスの利用に際しては、登録情報の確認を実施するものとします」は、「サービスを使う前に、登録情報を確認してください」と書き換えられます。行動する人、タイミング、必要な操作が一度で分かる形です。
2.一文には一つの論点を置く
長い文には、条件、理由、例外、結論が混ざりがちです。読点を増やしてつなぐのではなく、意味のまとまりごとに文を分けます。条件を書いた次の文で行動を示すなど、情報の順序もそろえます。
3.専門用語と略語を初出で説明する
専門用語を一般語へ置き換えると意味が変わる場合は、用語を残して短い説明を添えます。SEOなら「SEO(検索エンジン最適化)」のように、最初の一箇所で意味を示します。詳しい使い分けは、難解な用語をウェブ上で伝える方法で確認できます。
略語も、読者が知っていると決めつけずに扱います。正式名称の示し方や補足方法は、ウェブアクセシビリティで略語を伝える方法も参考になります。
4.見出しとリストで関係を示す
見出しは、節の内容を具体的に表す言葉にします。「ポイント」「詳細」だけでは、見出しを拾い読みしても内容を予測できません。「申し込みに必要な書類」「エラーを修正する手順」のように対象を明記します。
順序がある作業には番号付きリストを、同じ役割の項目には箇条書きを使います。ただし、文章を細かく切って並べるだけでは関係が分かりません。リストの前に、何を並べるのかを一文で説明します。
5.公開前に理解できるかを確かめる
執筆者は前提知識を持っているため、説明不足に気付きにくいものです。公開前には、初めて読む人が目的、条件、行動を取り違えないかを確認します。音声で読み上げる場面も想定し、見出しやリストが意味に合ったHTMLになっているかも点検します。
分かりやすい文章が支える読者
読解の負担を減らす編集は、特定の人だけを対象にしたものではありません。次のような読者が情報を理解しやすくなります。
- 読み取りや記憶に負担を感じやすい人:短い段落と明確な順序によって、論点を追いやすくなります。
- 高齢の読者:意味の明確な言葉と整理された構成により、前の文を何度も読み返す負担を減らせます。
- 日本語を母語としない人:慣用的で曖昧な表現を避けることで、必要な情報をつかみやすくなります。
- スクリーンリーダーを利用する人:意味に合った見出しとリストがあれば、ページの構造をたどりやすくなります。
公開前の確認項目
- 冒頭でページの目的と結論が分かるか
- 一文に条件や結論を詰め込みすぎていないか
- 専門用語と略語を初出で説明しているか
- 「これ」「上記」などの指示先が明確か
- 見出しだけを読んでも内容の順序を予測できるか
- 見出し、段落、リストを意味に合ったHTMLで表しているか
内容を保ちながら不要な難しさを減らす
読解レベルの改善は、文章を幼くしたり情報量を一律に減らしたりする作業ではありません。伝えるべき意味と条件を保ち、用語、文の長さ、情報の順序、HTMLの構造から不要な難しさを取り除く作業です。
規格名を掲げるだけで終わらせず、実際のページを読者の行動に沿って確認すると、改善すべき箇所を見つけやすくなります。
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