システム開発入門の第31週目では、これまでの成果をポートフォリオに整理し、短いデモとピアレビューを行いました。
後半では、次学期に学ぶ要求定義、UML、データベース設計などを見渡し、実装中心の学びからシステム設計へ進む準備を整えました。
学期の成果を「見せられる形」にする
田中先生:「今日は『見せられる形』で成果をまとめることと、設計の世界へ心の準備をする日です。コードだけでなく、考え方や改善の記録も大切にしましょう。」
先生は、設計、実装、テスト、改善、運用というプロジェクトの流れを振り返り、完成したコードだけでなく、判断と修正の過程も残すよう促しました。
成果物と過程を一緒に整理すれば、何を作ったかに加えて、どの課題に気づき、どのように対処したかも説明できます。
ポートフォリオ整理で確認したこと
ポートフォリオとは、成果物と開発の過程を第三者が確認できるように整理した資料です。
生徒は自分のアプリやプロジェクトを振り返り、次の項目を提出用資料にまとめました。
- プロジェクトの概要:何を目的とし、誰を対象にしたのか。
- 実装した機能:特徴的なアルゴリズムと工夫した点。
- 担当範囲:チーム内の役割分担と、自分が受け持った部分。
- 技術構成:使用した言語、ライブラリ、外部APIなど。
- 検証結果:テスト結果、ログを使った改善、簡易KPI(成果や改善の度合いを確かめる指標)。
- 問題と対処:見つかった不具合への修正や、利用者からの意見を受けた改善。
- 振り返り:できるようになったことと、今後伸ばしたいこと。
- 再現に必要な情報:実行手順、デモ画面、ソースコードの配置。
生徒A:「作っただけじゃなく、何を学んだかを言語化するのが意外と難しい」
生徒B:「ポートフォリオにテスト結果を載せたら説得力が出る気がする」
二人の感想からは、成果を並べるだけでなく、選んだ方法と改善の根拠まで説明する難しさが伝わります。
2分デモとピアレビュー
ピアレビューとは、同じ立場の学習者どうしで成果を確認し、改善のための意見を交換することです。
生徒はポートフォリオをもとに2分のデモを準備し、ペアで発表のリハーサルを行いました。
授業で使った確認観点を発表の順番に並べ直すと、次の四段階になります。
- 目的を示す:誰のために、なぜ作ったのかを伝える。
- 操作を見せる:利用の流れが分かる順番で主要な機能を動かす。
- 工夫を説明する:技術上の判断を短く言葉にする。
- 次の課題を示す:改善したい点や残っている課題を伝える。
生徒C:「デモで『なぜ作ったか』を先に言うと注目してもらいやすい」
生徒D:「レジュメに『想定外の入力例』を入れておくと説明がスムーズだった」
次学期に向けたシステム設計の入口
システム設計は、コードを書く前に、誰のために何を作るのか、データや処理をどう組み立てるのか、チームで何を共有するのかを整理する作業です。
授業では、2年生領域で扱う六つのテーマが紹介されました。
| テーマ | 学ぶ内容 |
|---|---|
| 要求定義(要件整理) | 利用者が実現したいこと、システムが備える機能、性能や使いやすさなどの条件を分けて整理します。 |
| UMLと設計図 | クラス図で構造を、シーケンス図で処理の流れを、ユースケース図で利用者と機能の関係を表します。 |
| データベース設計 | ER図でテーブルどうしの関係を示し、正規化の基礎を学びます。 |
| 簡易アーキテクチャ設計 | フロントエンドとバックエンドの役割を分け、APIで情報を受け渡す構成を考えます。 |
| 設計レビューと文書化 | 設計書に判断を残し、レビューで認識のずれや不足を確認します。 |
| チーム開発 | 役割分担、バージョン管理、CI(コードの変更を継続的に統合する考え方)の基礎を学びます。 |
田中先生:「設計は『作る前の会話』。コードを書く前に、誰と何をどう作るかを相談できる力が求められます。」
設計について考えた三つの問い
生徒は小グループに分かれ、設計の評価とチームでの進め方を考えました。
- 良い設計とはどのようなものか。
- チームで作るときに起きやすい問題は何か。
- 設計するときに何を最も大切にしたいか。
各班からは「分かりやすさ」「拡張しやすさ」「誰が見ても再現できること」という意見が出ました。
ここでいう分かりやすさは目的と役割を追えること、拡張しやすさは変更を加える場所を判断しやすいこと、再現できることは別の人が資料を読んで同じ手順をたどれることを指します。
宿題と次回の学習
学期の締めくくりと次学期の準備として、次の三つが宿題になりました。
- 必須項目を満たしたポートフォリオを、PDFまたはMarkdownで提出する。
- 次学期に学びたいテーマを三つ挙げ、それぞれの理由を20〜60字で書く。
- チーム開発で取り組みたい役割(設計、実装、テスト、運用など)を選ぶ。
次週は提出物の最終確認に加え、希望者を対象とした進路相談とポートフォリオ添削の時間です。
大学やIT系の進路、部活動や個人学習の進め方も含め、その後の様子は第32週目の授業レポートで確認できます。
第31週目で得た視点
成果を並べるだけでは、開発者が何を考え、どのように改善したのかまで伝わりません。
目的、担当範囲、技術、検証、改善を一つの流れとして説明することで、ポートフォリオは次の学びにも使える資料になります。
第31週目は、作る力と直す力を振り返り、それらを他者へ伝える力と、設計を学ぶ準備へつなげる授業になりました。
この記事に関連する株式会社greedenの取り組み
学びをポートフォリオに整理し、設計の視点で次の課題を確かめることは、開発を前に進める土台になります。株式会社greedenは、要件定義から設計、実装、テスト、保守までを一気通貫で支援するWebシステム開発に取り組んでいます。

