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ドミノ・ピザのアクセシビリティ訴訟とは|経緯と企業が学ぶ改善策

scrabble tiles

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ドミノ・ピザのウェブサイトとモバイルアプリを巡る訴訟は、オンラインで商品を見られるだけでは、サービスを利用できることにならないと示した事例です。
視覚障がい者がスクリーンリーダーを使って注文を完了できなければ、店舗につながるデジタルの窓口に利用上の壁が残ります。

この記事では、訴訟の背景と裁判上の争点を整理したうえで、企業がウェブサイトやアプリを点検するときの具体的な着眼点を解説します。

ウェブアクセシビリティと注文体験の関係

ウェブアクセシビリティとは、障がいのある人を含む利用者が、ウェブ上の情報を受け取り、必要な操作を進められるようにする考え方です。
注文サービスであれば、メニューを読むことだけでなく、商品を選び、必要事項を入力し、注文を確定できるところまでが利用体験に含まれます。

スクリーンリーダーは、画面上の文字や操作要素を音声などで伝え、利用者の操作を支援するソフトウェアです。
画像、リンク、入力欄に意味を示す情報がなければ、見た目では分かる内容でも、スクリーンリーダーからは目的を判断しにくくなります。

訴訟の背景

2016年、カリフォルニア州在住の視覚障がい者であるギジェルモ・ロブレス氏は、ドミノ・ピザのウェブサイトとモバイルアプリでピザを注文しようとしました。
しかし、スクリーンリーダーを使っても適切に操作できず、注文を完了できなかったとして訴訟を提起しました。

原文で挙げられていた問題は、次の三つです。

指摘された問題と利用者への影響
問題 何が分かりにくくなるか
代替テキストの欠如 画像が伝える内容や、画像を使った操作の目的を読み上げで把握しにくくなります。
目的を示さないリンク リンク先を説明する文言がないため、選択前に移動先を判断できません。
同じ移動先への重複リンク 同じリンクを何度も通過することになり、ページの構造や現在位置をつかみにくくなります。

代替テキストは、画像の見た目を機械的に説明するためだけの文章ではありません。
その画像がページ内で伝えている情報や果たしている役割を、視覚に頼らず理解できるようにするための情報です。

ADAを巡る法的争点と裁判の経緯

ADAは、本件でウェブサイトやアプリと実店舗の関係が争点となった米国の障がい者差別禁止法です。
ロブレス氏は、注文を妨げたアクセシビリティ上の問題がADAに違反すると主張しました。

これに対し、ドミノ・ピザ側は、ADAが制定された当時にはインターネットが普及しておらず、ウェブサイトに適用する具体的な技術基準も示されていないと主張しました。
争点は、技術基準が明文化されているかだけではなく、ウェブサイトやアプリが実店舗のサービスとどのようにつながっているかにありました。

  1. 2016年:ロブレス氏が、サイトとアプリから注文できなかったとして訴訟を提起しました。
  2. 連邦控訴裁判所の判断:サイトとアプリが実店舗のサービスと関連している場合、ADAの適用範囲に含まれると判断しました。
  3. 2019年10月:米連邦最高裁判所はドミノ・ピザ側の上訴を取り上げず、その結果、控訴裁判所の判断が維持されました。

最高裁判所が上訴を取り上げなかったことは、本案について新しい基準を示したこととは異なります。
本件から読み取れるのは、少なくとも控訴裁判所が、実店舗と結び付いたデジタルサービスをADAと無関係とは扱わなかったという点です。

企業が見直したい四つの設計項目

アクセシビリティの改善は、個別の設定を埋める作業だけでは終わりません。
利用者が目的の操作を完了できるかという順序で確認すると、問題の影響を判断しやすくなります。

画像とリンクの意味をテキストで伝える

情報を持つ画像には、その内容や役割が分かる代替テキストを設定します。
リンクには「こちら」のような周辺文脈に頼る表現ではなく、移動先や操作結果を予測できる名前を付けます。

同じ移動先へのリンクが繰り返されている場合は、単に数を減らすのではなく、それぞれが必要な理由と読み上げ順を確認します。
利用者が同じ説明を何度も聞く構造になっていれば、情報設計の整理が必要です。

キーボードだけで一連の操作を完了できるようにする

マウスを使わず、キーボードだけで商品選択、入力、確認、送信まで進めるかを確かめます。
操作中の位置を示すフォーカスが見え、移動順が画面の流れと一致していれば、次にどこを操作するか判断しやすくなります。

フォーカスの考え方と確認方法は、キーボード操作とフォーカス表示の解説で詳しく確認できます。

色だけに頼らず、十分なコントラストを確保する

文字と背景、選択状態、エラー表示などは、色の違いだけで意味を伝えないようにします。
文字や操作要素を見分けられるコントラストを確保し、状態を文言や形でも理解できるようにします。

フォームの名前と役割を明確にする

氏名や住所などの入力欄には、何を入力する欄なのか分かるラベルを関連付けます。
画面上の配置だけに頼らず、スクリーンリーダーでも入力欄の目的を確認できる構造にします。

公開後も続ける確認の流れ

WCAG(ウェブコンテンツ・アクセシビリティ・ガイドライン)は、ウェブサイトやアプリを設計し、評価するときの共通の手掛かりになります。
原文ではWCAG 2.0または2.1が挙げられており、本件のような利用上の問題を点検項目へ落とし込む際に役立ちます。

  1. 注文や問い合わせなど、利用者が完了すべき主要な操作を洗い出します。
  2. WCAGを参照し、画像、リンク、キーボード操作、色、フォームを点検します。
  3. スクリーンリーダーとキーボードを使い、最初から最後まで実際の操作順で確認します。
  4. 見つかった問題を修正し、変更によって別の操作を妨げていないか再確認します。
  5. 定期的な評価と利用者からのフィードバックを、次の改善に反映します。

ウェブアクセシビリティチェックの進め方も参考にしながら、公開前の確認と公開後の再評価を繰り返し、利用者のフィードバックを修正につなげます。

ドミノ・ピザの事例から持ち帰ること

ドミノ・ピザ側は技術基準が具体化されていないことなどを主張しましたが、控訴裁判所は、実店舗と関連するサイトやアプリをADAの適用範囲に含めました。
企業にとっては、基準の文言だけを確認するのではなく、利用者がサービスの中心的な操作を完了できるかを確かめる必要があります。

代替テキスト、リンク名、キーボード操作、コントラスト、フォームのラベルは、それぞれ独立した設定に見えます。
しかし、注文のような一連の操作では、一つの問題でも手続き全体を止めることがあります。
設計、実装、公開後の評価を継続し、利用上の壁を見つけた段階で修正できる体制が、使いやすいデジタルサービスを支えます。

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