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世界のウェブアクセシビリティ政策を比較|米国、EU、英国、日本、韓国の基準

Programmer hands Working at home with computer. Man writing a code. Men programmer hands on the keyboard. Hand coding and showing code graphic on screen. Web Design Business Concep

ウェブアクセシビリティとは、障害の有無や年齢、利用環境にかかわらず、できるだけ多くの人がWebサイトやアプリの情報と機能を利用できる状態を目指す考え方です。

たとえば、画像の内容を伝える代替テキスト、キーボードだけでも操作できる画面、動画の字幕、読み上げソフトが理解できる見出し構造は、情報への入口を広げます。

各国は同じ目的を共有していますが、法律が対象とする組織、参照する技術基準、監視や苦情受付の仕組みは同じではありません。

ここでは米国、欧州連合(EU)、英国、日本、韓国を取り上げ、制度の違いとWeb担当者が押さえるべき共通点を整理します。

比較の前に、法律と技術基準を分けて考える

各国の制度を読むときは、法律と技術基準を同じものとして扱わないことが大切です。

WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)は、W3Cが策定する国際的な技術標準です。

WCAG自体が各国共通の法律なのではなく、国や地域の法制度、調達基準、組織内の品質基準から参照されることで実務上の役割を持ちます。

WCAGの構成や適合レベルは、WCAG 2.2の基本を解説した記事でも確認できます。

各国と地域の枠組みを一覧で比較

国または地域 主な枠組み 対象と運用上の特徴
米国 ADA、Section 508、WCAG 州や地方政府、公共向け事業者、連邦機関で適用範囲が異なります。
EU Web Accessibility Directive、EN 301 549 公共部門のWebサイトとモバイルアプリを中心に、方針公開、意見受付、監視を組み合わせます。
英国 Equality Act 2010、公共部門向けアクセシビリティ規則 差別禁止の枠組みに加え、公共部門では技術基準とアクセシビリティ声明が重視されます。
日本 障害者差別解消法、JIS X 8341-3 合理的配慮と環境整備を進めつつ、JISを設計と試験の指標として活用します。
韓国 障害者差別禁止法、KWCAG 電子情報への差別のないアクセスを法制度で支え、国内向け技術指針を整備しています。

この表は制度の入口を示したものです。

実際の義務や例外は、組織の種類、提供するサービス、コンテンツの性質によって変わります。

米国ではADAとSection 508の対象が異なる

米国のウェブアクセシビリティ制度は、一つの法律だけで構成されているわけではありません。

ADA(Americans with Disabilities Act)は、州や地方政府のサービスや一般に開かれた事業者のサービスにおける障害者差別を禁じる枠組みです。

州や地方政府のWebコンテンツとモバイルアプリについては、ADA Title IIの規則でWCAG 2.1レベルAAが技術基準として示されています。

一方、Section 508は、連邦機関が開発、調達、維持、利用する情報通信技術を対象とし、改訂基準ではWCAG 2.0のレベルAとAAが参照されています。

したがって、「米国ではすべてのWebサイトに同じWCAGの版が一律に適用される」と考えるのは正確ではありません。

運営主体とサービスの性質を確認してから、該当する法的要件と技術基準を切り分ける必要があります。

EUは公共部門の義務と共通の運用を整えている

EUのWeb Accessibility Directiveは、公共部門のWebサイトとモバイルアプリのアクセシビリティを加盟国間で進めるための指令です。

指令を支える調和規格EN 301 549はWCAG 2.1を土台にしていますが、WCAGだけには含まれない要件も扱います。

そのため、「WCAG 2.1の達成だけで指令への適合が自動的に保証される」とは限りません。

EUの枠組みでは、技術要件に加えて、アクセシビリティ声明、問題を伝えるための連絡手段、加盟国による監視と報告が組み合わされています。

サイトを一度改修して終えるのではなく、利用者の声と検査結果を次の改善へつなげる仕組みが前提です。

英国は公共部門でWCAG 2.2 AAを運用基準にしている

英国では、Equality Act 2010などの差別禁止の枠組みに加え、公共部門のWebサイトとモバイルアプリを対象とするアクセシビリティ規則があります。

英国政府の現在の案内では、公共部門はWCAG 2.2レベルAAを基準に確認し、アクセシビリティ声明を公開して定期的に見直すことが求められています。

ただし、対象外のコンテンツや過重な負担に関する考え方もあるため、すべての組織とコンテンツを一文で「完全準拠」と表すことはできません。

実務では、声明に適合状況、未対応箇所、代替手段、連絡先を具体的に記載し、利用者が次の行動を選べるようにします。

日本ではJISと合理的配慮の役割を区別する

日本の代表的な技術規格がJIS X 8341-3です。

この規格は、高齢者や障害者を含む利用者がWebコンテンツを利用しやすくするための設計と評価の指標として、行政機関や企業の方針、調達、試験で参照されています。

一方、障害者差別解消法では、2024年4月から事業者による合理的配慮の提供が義務化されました。

合理的配慮は、障害のある人から意思が示された場合に、負担が重すぎない範囲で社会的障壁を取り除くための対応を検討する考え方です。

これは「すべての民間Webサイトが一律にJISへ完全適合しなければならない」という意味ではありません。

個別の申出に応じる合理的配慮と、不特定多数の利用者を想定してサイトを事前に改善する環境整備を分けて理解すると、法制度とWeb制作の関係が見えやすくなります。

日本の制度変更と実務へのつなげ方は、民間事業者が押さえたい合理的配慮の解説で詳しく紹介しています。

韓国は差別禁止法とKWCAGを軸に取り組む

韓国では、障害者差別禁止法が電子情報へのアクセスにおける差別を禁じ、必要な便宜の提供を制度面から支えています。

技術面では、韓国の利用環境に対応するKWCAG(Korean Web Content Accessibility Guidelines)が整備されています。

公共機関と民間企業を一括して同じ義務の対象と説明するのではなく、法令上の対象、サービスの種類、適用される技術指針を個別に確認する必要があります。

制度名だけで対応を判断せず、実際の利用者が情報を取得し、操作を完了できるかを試験することが欠かせません。

国が違っても共通する実務の進め方

制度の名称や適用範囲は異なっても、サイト運営の進め方には共通点があります。

  1. 対象範囲を確認する:運営主体、利用者、提供地域、公共性、取引の内容から、参照すべき法令と基準を整理します。
  2. 技術基準を決める:WCAGや国内規格の版と適合レベルを明記し、発注、設計、実装、試験で共有します。
  3. 利用を妨げる箇所から直す:キーボード操作、フォーム、見出し、画像の代替テキスト、字幕、色のコントラストなどを優先します。
  4. 自動検査と手動確認を組み合わせる:検査ツールの結果だけで適合を断定せず、読み上げやキーボード操作、実際の利用手順も確かめます。
  5. 連絡窓口と改善手順を用意する:利用者から問題の報告を受け、担当者、期限、修正結果を追跡できるようにします。

アクセシビリティは公開時の合否判定だけでは維持できません。

コンテンツ追加や機能改修のたびに状態が変わるため、公開後の試験と改善を続ける運用まで設計する必要があります。

各国比較から見える実務の共通点

各国の制度は、法律だけ、またはWCAGだけを確認すれば対応が完了する仕組みではありません。

組織に適用される義務を確認し、技術基準を実装へ落とし込み、利用者からの連絡と定期試験によって改善を続けるところまでが一連の取り組みです。

国際的にサービスを提供する場合は、単一の基準で全地域の法的要件を満たせると決めつけず、地域ごとの最新情報を公式資料や専門家に確認してください。


アクセシビリティ改善を進めるために

当社では、Webサイトにアクセシビリティ補助機能を導入できるUUU ウェブアクセシビリティウィジェットツールを提供しています。

導入を検討する際は、ツールの対象範囲を確認し、サイト本体の設計や実装の改善、手動試験、継続運用と組み合わせてください。

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