ウェブアクセシビリティとは、障害や加齢、一時的な身体の制約などがあっても、ウェブ上の情報を得たり機能を操作したりできるようにする取り組みです。
WCAGのレベルAは、その取り組みの出発点となる基礎的な達成基準です。画像、メニュー、動画、フォームなどに利用上の障壁がないかを確認し、まず基本的な問題を減らしたい制作者やサイト管理者に向いています。
この記事では、レベルAを理解するための考え方と、既存サイトで最初に確認したい5項目を具体例とともに整理します。
WCAGとレベルAの意味
WCAG(Web Content Accessibility Guidelines)は、ウェブコンテンツのアクセシビリティに関する国際的なガイドラインです。達成基準はレベルA、レベルAA、レベルAAAの3段階に分類され、レベルAには基礎となる要件が含まれます。
ただし、画像に代替テキストを一つ追加しただけで、サイト全体がレベルAを達成したことにはなりません。対象ページにある情報や機能を洗い出し、該当する基準を一つずつ確認する必要があります。
レベルAから取り組む理由
レベルAへの対応は、情報を認識できない、目的の場所へ移動できない、操作を完了できないといった基本的な障壁を減らします。視覚や聴覚に障害のある利用者だけでなく、けがでマウスを使いにくい人や、小さな文字を読みづらい高齢者にも役立つ対応があります。
- 利用できる人を増やす:画像の内容を文字でも伝え、マウス以外の操作手段を用意することで、情報や機能へ到達しやすくなります。
- 使い方を分かりやすくする:見出し、ラベル、操作方法を整理すると、利用者がページの構造や次の操作を判断しやすくなります。
- サイトの構造を整える:適切な代替テキストや見出しは、コンテンツの意味を明確にします。ただし、アクセシビリティ対応だけで検索順位の向上が保証されるわけではありません。
アクセシビリティに関する法令や規則がある国や地域もありますが、レベルAの達成だけで法的要件を満たすとは断定できません。必要な対応は地域、組織、サイトの性質によって異なるため、法令適合は別途確認してください。
最初に確認したい5つの項目
1.画像に代替テキストを付ける
代替テキストは、画像が伝える内容や目的を文字で示す説明です。画面上の文字を音声などで読み上げるスクリーンリーダーを使うときも、画像の意味を把握する手がかりになります。
説明は画像の用途に合わせます。商品画像で色や形が選択の判断材料になるなら、「青いシャツ。前面にポケット付き」のように、必要な特徴を簡潔に書きます。画像や動画の扱いを詳しく確認したい場合は、非テキスト情報の代替手段を設計する方法も参考になります。
2.キーボードだけで操作できるようにする
リンク、メニュー、ボタン、入力欄などの主要な機能を、マウスを使わずに操作できるか確認します。Tabキーで操作対象を順に移動し、Enterキーなどで選択したときに、目的の操作を完了できることが基本です。
ページの先頭から主要な手続きを最後まで試し、途中で移動や操作ができなくなる場所がないかを確認します。より詳しい点検方法は、キーボード操作とフォーカス表示の整え方で確認できます。
3.色だけで情報を伝えない
色の違いを認識しにくい利用者にも情報が伝わるように、文字や記号を併用します。たとえば、入力エラーを赤色だけで示すのではなく、「メールアドレスを入力してください」のような説明も表示します。
4.動画と音声に文字による代替手段を用意する
動画には字幕を付け、音声コンテンツには書き起こしを用意します。音声を聞き取れない利用者や、音を出せない環境にいる利用者でも、内容を文字で確認できる状態を目指します。
5.フォームの入力欄にラベルを付ける
入力欄には「氏名」「メールアドレス」のように、入力すべき内容が分かるラベルを付けます。見た目に文字を置くだけでなく、スクリーンリーダーでも入力欄とラベルの関係を把握できるように設定します。
自動検査と実際の操作を組み合わせる
アクセシビリティは、自動テストだけで完了とは判断できません。ツールで見つけやすい問題と、人が実際に操作しなければ分からない問題があるためです。
- WAVEやaxeなどの自動テストツールで、基本的な問題の候補を確認します。
- キーボードだけで主要なページや手続きを操作し、移動と実行ができるかを確かめます。
- 代替テキスト、ラベル、字幕などが、実際の内容や目的を正しく伝えているかを人が読み直します。
- 可能であれば、障害のある利用者によるテストを行い、自動検査では見つけにくい問題について意見を得ます。
- 修正後に同じ手順で再確認し、別の操作を妨げていないかを確かめます。
ツールの選び方や使い分けは、Webアクセシビリティチェックツールのガイドでも紹介しています。判定に迷う項目は、WCAGの公式解説で対象となる達成基準を確認してください。
レベルAを継続的な改善の起点にする
初めて取り組む場合は、利用者の多いページや、問い合わせ、購入、申し込みなどの主要な機能から確認すると作業範囲を整理しやすくなります。そこで見つけた問題を修正し、同じ観点をほかのページへ広げます。
レベルAは完了点ではなく、基本的な障壁を減らすための起点です。5つの項目を確認した後も、サイト全体の達成基準を点検し、必要に応じてより高いレベルへの対応を進めてください。
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