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JIS X 8341-3:2016(WCAG)の「発作の防止」|達成基準2.3.1・2.3.2と対応方法

JIS X 8341-3:2016の「発作の防止」は、ウェブコンテンツの閃光によって光感受性発作が引き起こされるリスクを減らすためのガイドラインです。

実務でまず採用したい方法は、動画やアニメーションを含め、どの1秒間にも3回を超える閃光を生じさせないことです。
ただし、レベルAの達成基準2.3.1には「閃光が定められた閾値を下回る」という別の適合方法もあるため、回数、明るさ、色、面積を混同せずに判断する必要があります。

この記事では、達成基準2.3.1と2.3.2の違い、よくある誤解、制作・公開時の確認手順を順に整理します。

「発作の防止」が対象とするもの

ここでいう閃光とは、明るさが上がって戻る、または下がって戻るような一対の急な変化のうち、条件によって発作の誘因になり得るものです。
画面上で何かが動くことすべてを指すわけではありません。

一方、ゆっくりした点滅や動きは、注意をそらす問題として別の達成基準の対象になることがあります。
同じ「点滅」という言葉で呼ばれていても、発作を防ぐための閃光評価と、一時停止・停止・非表示の仕組みを求める評価は分けて考えます。

ウェブアクセシビリティ基盤委員会(WAIC)のJIS X 8341-3:2016解説によると、この規格はWCAG 2.0の技術的要件と一致する形で整理されています。
そのため、本稿ではJIS X 8341-3:2016と、それに対応するWCAG 2.0の達成基準を基に説明します。

達成基準2.3.1と2.3.2の違い

発作の防止に関する達成基準の比較
達成基準 適合レベル 求められること 実務上の考え方
2.3.1「3回の閃光又は閾値以下」 A どの1秒間にも3回を超える閃光がない、または一般閃光閾値と赤色閃光閾値を下回る 3回以下に抑える方法が最も判断しやすい。3回を超える場合は、専用の評価が必要
2.3.2「3回の閃光」 AAA どの1秒間にも3回を超える閃光がない 明るさや面積が小さくても、回数による例外はない

レベルAの2.3.1は「回数」または「閾値」のどちらかで判断できます。
レベルAAAの2.3.2はより厳しく、閾値による例外を設けずに回数を制限します。

個別の解説は、サイト内の達成基準2.3.1(レベルA)の解説達成基準2.3.2(レベルAAA)の解説も参照してください。

回数・閾値・面積を正しく理解する

「3回以上」ではなく「3回を超える」

基準の回数要件は、どの1秒間においても「3回を超える閃光」を生じさせないことです。
したがって、回数だけで判断する場合は3回以下に抑えます。

ここでの「どの1秒間」も重要です。
動画を1秒ごとの固定区間に分けるだけでなく、再生中の任意の1秒間を対象として確認します。

閾値は画面全体に対する単純な割合ではない

閾値とは、一般的な明るさの変化や彩度の高い赤色の変化について、強さと面積が許容範囲に収まるかを判定する境界です。

元の記事では画面の20%と25%という異なる数値が示されていましたが、画面全体に対する単純な割合として判断するのは正確ではありません。
WAICの達成方法G176にある25%は、標準的な閲覧距離における「視野10度」の25%を指します。

表示サイズ、閲覧距離、拡大表示などで見え方が変わるため、制作担当者の目測だけで合否を決めないことが大切です。
回数を3回以下にできない場合は、一般閃光閾値と赤色閃光閾値を評価できるツールで、公開時と同じ表示条件のコンテンツを分析します。

赤色は色名だけで判定しない

赤色の閃光には専用の閾値がありますが、「赤、白、黒を使った高コントラスト表現はすべて不適合」という意味ではありません。
彩度の高い赤色を含む変化や一般的な明るさの変化を、回数、強さ、面積と併せて評価します。

停止ボタンや音の有無は代替条件にならない

一時停止ボタンは、ゆっくりした点滅や動くコンテンツへの配慮として有効な場合があります。
しかし、危険な閃光が始まってから利用者に停止操作を求める方法は、達成基準2.3.1の代わりにはなりません。

また、音が付いているかどうかは、達成基準2.3.1または2.3.2の判定条件ではありません。
映像と音を組み合わせた体験全体への配慮は必要ですが、閃光の合否とは分けて確認します。

制作・公開時の確認手順

  1. 対象を洗い出す:動画、アニメーションGIF、広告バナー、スライド、CSSやJavaScriptによる点滅など、時間とともに明るさや色が変わる要素を一覧にします。
  2. 閃光を避ける:演出上必須でなければ、急な明暗変化を削除し、穏やかな切り替えや静止表示に変更します。アクセシビリティに配慮したアニメーション設計も参考になります。
  3. 回数で確認する:どの1秒間にも3回を超える閃光がないかを確認します。GIFのように繰り返すコンテンツは、末尾から先頭へ戻る境目も含めます。
  4. 必要なら閾値を測定する:3回を超える箇所を残す場合は、一般閃光閾値と赤色閃光閾値に対応した評価ツールを使用します。ツール名だけで選ばず、対象の閾値を分析できるかを確認します。
  5. ページ全体で再確認する:複数の要素が同時に閃光を放つ場合は、個別要素だけでなく、同時に生じる領域をまとめて評価します。レスポンシブ表示や拡大時の見え方も確認します。
  6. 修正後に再試験する:速度、色、明るさ、表示面積のいずれかを変更したら、変更後のファイルと公開ページを再評価します。サイト全体の試験計画はウェブアクセシビリティ試験の進め方で整理しています。

人が見て問題ないかを確かめる方法は、閃光閾値の技術的な評価の代わりにはなりません。
評価が済んでいないコンテンツを利用者に見せるのではなく、まず回数の確認とツールによる分析を行います。

コンテンツ別のチェックポイント

閃光を見落としやすいコンテンツと確認点
コンテンツ 確認するポイント
アニメーションGIF 繰り返しの途中だけでなく、最後のフレームから最初のフレームへ戻る部分も含めて確認する
動画 編集上の切り替え、明暗の急変、短い演出を含め、時間軸全体を確認する
CSS・JavaScriptの演出 自動再生時だけでなく、クリック、フォーカス、エラー表示など操作後に始まる変化も確認する
複数のバナーや部品 それぞれが基準内に見えても、同時に閃光を放つ領域を合算して確認する

よくある誤解

「小さな点滅なら必ず問題ない」

レベルAでは面積を含む閾値による判断ができますが、小さく見えるという印象だけでは合否を決められません。
面積を適合根拠にする場合は、定義された条件で測定します。

「停止できれば速く点滅してもよい」

停止操作ができることと、発作を防止する閃光基準を満たすことは別です。
閃光は停止操作より前に見えるため、表示開始前から基準を満たす設計にします。

「基準を満たせば、すべての人に影響がない」

達成基準は既知のリスクを減らすための共通条件であり、あらゆる体調への影響がなくなることを保証するものではありません。
適合だけを目標にせず、不要な閃光を使わない設計を優先します。

まとめ

まずは公開中の動画、GIF、アニメーションを棚卸しし、回数だけで判断できない箇所を技術的な試験へ回すことが、安全性と運用しやすさの両立につながります。

参考資料


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